1984年にデビューし、音楽シーンは勿論、多岐に渡り活動の幅を広げ、様々な功績を成し遂げ続けてきた吉川晃司。
同じ年に、広島で生まれ、育ち、のちに様々な領域で金字塔を打ち立ててきた奥田民生、吉川晃司が、
ユニット“Ooochie Koochie”(オーチーコーチー)として故郷への恩返し、さらには日本全国を“祝祭”のごとく盛り上げていく。
誰よりも自由に、誰よりも自分らしく活躍し続けてきた二人の、奇跡のユニットに注目してほしい。




歌詞では、大人の仲間入りをする20歳前後で既に東京で活躍していた彼らが、もしも広島で過ごしていたらという設定で描かれており、楽曲全体として、どこか抒情的な風景が感じられるナンバーとなる。

Okuda Tamio
奥田民生
1965年広島生まれ。1987年にユニコーンでメジャーデビューする。
1994年にシングル「愛のために」でソロ活動を本格的にスタートさせ、「イージュー★ライダー」「さすらい」などヒットを飛ばす。また井上陽水とコラボ作品を発表したり、PUFFYや木村カエラのプロデュースを手がけたりと幅広く活躍。
バンドスタイルの「MTR&Y」、弾き語りスタイルによるライブ「ひとり股旅」や、レコーディングライブ「ひとりカンタビレ」、YouTubeで繰り広げる宅録スタイルのDIYレコーディングプロジェクト「カンタンカンタビレ」など活動形態も多岐にわたる。
さらに世界的なミュージシャンであるスティーヴ・ジョーダン率いるThe Verbsへの参加、岸田繁(くるり)と伊藤大地と共に結成したサンフジンズ、斉藤和義・トータス松本ら同世代ミュージシャンと結成したカーリングシトーンズの一員としても活躍している。
2015年に50歳を迎え、レーベル・ラーメンカレーミュージックレコード(RCMR)を立ち上げ、2019年にソロ活動25周年を迎えた。
現在はテレワークでゲストと繋がりトークや演奏を繰り広げる『カンタンテレタビレ』やバーチャル背景で演奏する『カンタンバーチャビレ』などをYouTubeにて次々と公開している。

Kikkawa Koji
吉川晃司
1984年に映画「すかんぴんウォーク」と、その主題歌「モニカ」でデビュー。日本歌謡大賞最優秀新人賞ほか、8つの新人賞を独占、俳優としてもブルーリボン賞、日本アカデミー賞、ゴールデンアロー賞他の新人賞を受賞。
「LA VIE EN ROSE」「You Gotta Chance〜ダンスで夏を抱きしめて〜」など、常にランキングの上位をにぎわせる中、1988年ギタリスト布袋寅泰とのユニット COMPLEXを結成。
その後ソロとして、作詞、作曲、プロデュースを自ら手がけ、独自のボーカルスタイルでロックアーティストとして不動の地位を確立。
2011 年 COMPLEX の東京ドーム公演を東日本大震災復興支援の為に開催。
また、2024年5月には令和6年能登半島地震復興支援の為に再び東京ドーム公演を開催した。
近年は音楽活動に留まらず、俳優としても高い評価を得る。
出演作品
「レディジョーカー」「チームバチスタの栄光」「るろうに剣心」「キングダム」シリーズ、NHK大河ドラマ「天地人」「八重の桜」TBS「下町ロケット」NHK朝ドラ「舞い上がれ!」など。
映画「必死剣・鳥刺し」では、第34回日本アカデミー賞優秀助演男優賞を受賞。
現在も精力的にライブを行う中、映画やドキュメンタリー番組、CM等、更に活動の幅を広げて活躍中。
Ooochie Koochie
DISC REVIEW
ブリティッシュハードロック全開のOoochie Koochieのテーマ曲。ユニット名の由来となる“おちこち”の意味は“あちらこちら”“昔と今”など。パワフルかつワイルドなシャウトには新たなユニット誕生の瞬間のパッション(情熱)とアンビション(大志)がぎっちり詰まっている。<俺たちは今 裸に帰るんだ>というフレーズは今年還暦の2人のロックンロール宣言のように響く。
全編広島弁の画期的なヘヴィロック。2人の骨のある歌いっぷりがクセになる。ショーラーは「している」という意味。ロックの初期衝動と思春期の鬱屈を絶妙に融合。<あんなーとちゅーとかしたいんなら>といった歌詞は、十代と還暦、“昔と今”を自由に往き来できる彼らだからこそだ。ソリッドなギターが気持ちいい。右から響くレスポールは奥田、左から響くフライングVは吉川。
Music Video:https://www.youtube.com/watch?v=DNDKKtYOx4o
70年代のディスコミュージックを現代に蘇らせた、遊び心満載の曲。「もしも吉川が上京せず、広島で学生生活を送っていたら」という架空の設定で奥田が歌詞を書いている。ゴールドは黄金山、赤いゲートは厳島神社の鳥居からの着想。 <にくまれそうな><BABY>などの吉川の代表曲からの引用は、奥田から吉川へのオマージュだろう。
Music Video:https://www.youtube.com/watch?v=v2cjUNGuADc
『帰れマンデー見っけ隊!!』のテーマソングとして書き下ろした曲。番組に出演しているお笑い芸人「タカアンドトシ」と「サンドウィッチマン」にちなんだキーワードが歌詞に散りばめられている。広がりのあるポップなサウンドに乗せて、2人の旅情あふれる歌声が染みてくる。タイトルは「マンデー」だが、日曜の夜の切なさが滲む。
ソリッドなギターリフを軸としたハードロック。テーマは水と油のように真逆な2人、つまり奥田と吉川だ。2つの強烈な個性をシャッフルすることでミラクルな音楽の化学変化が起こる。奥田と吉川にChloe Kibbleとmimikoという女性陣が加わったコーラスも見事。<何かが起きそう>というフレーズがOoochie Koochieの今後を予告している。
爽快感の漂うロマンティックなダンスチューン。80年代のシティポップのテイストもある。Ooochie Koochieと同年代の主人公の“片恋”が描かれている。“還暦の男がこんな恋をしたらおもしろい”という発想から生まれた曲。作詞は吉川、作曲は奥田。<風は君のために吹いている>と歌う吉川の歌声がみずみずしく響く。
奥田と吉川がギターキッズに還ってギブソンを弾きまくるストーンズ・タイプのロックンロール。歌詞に<ニール><アンガス><ペイジ><ロンソン>と、それぞれのギター・ヒーローの名前が登場する。楽しそうに歌い、ギターを弾く2人から漂う“無敵感”に胸が熱くなる。観客が拳を突き上げるライブの光景が見えてきそうだ。
吉川が自分の体験も交えて“あの日の雲”をモチーフに歌詞を書き、奥田が胸を揺さぶるエモーショナルな旋律を紡いでいる名曲。歌詞に登場する「エノラ・ゲイの悲劇」は、イギリスのシンセポップデュオ、オーケストラル・マヌーヴァーズ・イン・ザ・ダークの1980年のヒット曲の曲名。サビのフレーズの<Up & Beyond>は雲の上から見る視点と雲の下から見る視点を表現している。誰かを批判する歌ではない。未来への希望を見いだそうとする祈りの歌だ。
スタジアムで観客が合唱するイメージで制作された楽曲。バクパイプの音色に導かれて始まり、聖歌からロックまで、起伏に富んだロックオペラ的な展開がスリリングだ。タイトルもサンフレッチェ広島の団結のシンボルマークでもある「三本の矢」にちなんで付けられた。Ooochie Koochieも“広島への恩返し”という趣旨のもと、固く、そして時には緩やかに団結している。
広島東洋カープ公認応援歌にして、「おちこち」と並ぶOoochie Koochieのテーマ的な曲。カープが勝利すると観客が合唱するのが恒例。パワーステーション風のファンキーなリズムと教会音楽の旋律の両立が独特のダイナミズムを生んでいる。冒頭の「えーよ」は広島弁で、「いいよ」という意味、つまり「OK」である。
Lyric Video:https://www.youtube.com/watch?v=eZxE9wMtF5g
(文・長谷川 誠)
奥田民生ギター(R:01,02,03,04,05,10/L:01,06,07,08,09)
吉川晃司ギター(R:06,07,08,09,05/L:02,03,04,05,10/C:01)